
建設業退職金共済制度という制度は、国が建設業を営む事業主のために作った特別な退職金制度のことです。その目的は、建設業の事業主が従業員の退職時に十分な退職金を準備できるように支援することです。
この記事では、建設業退職金共済制度の概要や条件、その他の制度について説明します。

建設業退職金共済制度

建設退職金共済制度は、建設業を営む事業主向けに国が設けた退職金制度です。これは事業主が従業員に対して退職時に支払う退職金を準備し、そのための負担を軽減するための制度です。
概要
「建設退職金共済」とは、建設業に特化した退職金制度で、その実施は中小企業退職金共済法により規定されています。この制度は一般的に「建退共制度」として知られています。
建設業を営む事業者が対象であり、この制度の主な目的は、建設業で働く従業員の福祉を増進し、雇用の安定を図ることです。これは事業者が従業員に退職金を確実に支払うことで達成されます。退職金の計算方法や支払額は国が設定した基準に従い計算されます。
特徴
建設退職金共済制度の仕組みにはいくつかの特徴があります。まず、この制度を利用するためには、制度に加入している会社で働くことが必要となります。会社が建設業退職金共済制度に加入している場合、従業員自身が掛け金を支払う必要はありません。その代わりに、会社が運営団体と契約を結び、掛け金を支払います。
退職時には、運営団体が従業員に対して退職金を支払います。退職金は、従業員が24ヶ月以上勤務した場合に支払われます(死亡した場合は12ヶ月以上)。また、働いた期間が長くなるほど、受け取る退職金の額が増えます。
さらに、従業員が働いた期間は、制度に加入している会社間で引き継がれるという特徴があります。つまり、転職をしても新しい勤務先が制度に加入していれば、その勤務期間は通算としてカウントされます。もし新しい勤務先が制度に加入していない場合は、過去の支払い分のみを精算するか、新しい勤務先が制度に加入後に過去分の引継ぎを行うことになります。

【参考】:厚生労働省
建設業退職金共済の加入条件

建設退職金共済制度の利用には特定の条件が必要で、これらは事業主と労働者、それぞれに適用されます。それぞれの具体的な加入条件について詳しく見ていきましょう。
対象となる事業主
建設業退職金共済は建設業を営む全ての事業主が利用することができます。そのため、総合建設会社から専門的な部門を持つ会社、元請け会社から下請け会社まで、幅広い事業主が既にこの制度に加入しています。
対象となる労働者
建設退職金共済制度に加入できる労働者は幅広く、職種としては大工、左官、とび、土木、電工、配管工、塗装工員など多岐にわたります。さらに、現場事務所の事務員なども制度利用の対象者となります。給与形態に関しても日給や月給等に制限はなく、また国籍や役職による制限も存在しません。
一人親方についても、複数人が任意組合を結成すれば、その組合員を組織の労働者として制度に加盟することが可能です。
ただし、以下の条件に該当する方は、建設退職金共済制度の加入対象となりません
- 事業主や役員報酬を得ている方
- 建設退職金共済にすでに加入している方
- 他の退職金共済に加入している方(ただし、建設退職金共済に新たに加入することになった際は、それまでの掛け金を引き継ぐことが可能)
以上の条件に該当する方が建設退職金共済制度に加入すると、納付金額の返還などが求められる可能性があるため、注意が必要です。
退職金の目安

以下の表は、建設退職金共済制度での退職金額の目安を示しています。ここでは掛け金が日額310円の場合の数値をご紹介しています。
この表からわかるように、勤続年数が増えるにつれて、退職金の金額も大きくなっていきます。これは、企業が長期にわたって従業員を雇用し、その貢献を評価するためのものです。ただし、具体的な金額は勤続年数だけでなく、掛け金の額や業績などによっても変動します。

【参照】:広島県建設業協会連合会
その他の退職金制度

退職金制度は業種を問わず、多くの企業や組織で導入されています。その中でも主なものを以下にご紹介します。
中小企業退職金共済
中小企業退職金共済制度は、中小企業者が相互に助け合い、国の援助を受ける退職金制度です。月々の掛け金を金融機関に納付し、従業員の退職時に退職金が支払われます。概要は以下です。

【参照】:中小企業退職金共済事業本部
確定拠出年金
確定拠出年金制度は、企業が掛け金を積み立て、従業員が自分で資金を運用して受け取る年金制度です。概要は以下です。

【参照】:確定拠出年金制度の概要
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/nenkin/nenkin/kyoshutsu/gaiyou.html
確定給付企業年金
確定給付企業年金は規約型と基金型に大別されます。規約型は、経営者と従業員が合意した年金規約に基づいて企業と信託会社や生命保険会社などが契約し、積立金の管理・運用を行います。その他、概要は以下です。

まとめ
いかがでしたでしょうか。建設業退職金共済は建設業の企業で働く職人さんにとってもとても重要な制度です、転職をお考えの際、転職先の会社が建設業退職金共済に加入している企業なのかをチェックしてみてはいかがでしょう。
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