建設現場で重要な役割を担う施工管理。そんな施工管理は特別な職業と思われがちですが、実はそんなことはありません。
建設業界で働いた経験がなくても転職は可能です。
この記事では、実際に全くの建設業界未経験から施工管理に転職した筆者が
- 施工管理とは
- 建設業界未経験の人に伝えたい施工管理の魅力
- 建設業界未経験で施工管理に転職するなら知っておいた方がいいこと5選
これらについて紹介します。
施工管理の魅力や、施工管理への転職におけるポイントを知りたい人は参考にしてください。
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施工管理とは
まずは、施工管理の仕事内容について説明します。
施工管理とは「工事現場の4大管理をする仕事」です。
「4大管理」とは以下の4つを指します。
- 安全管理……現場の状況や作業員の健康状態の確認、安全ルールの徹底など
- 工程管理……決められた工期を守るための「工事日」「人」「材料」の調整
- 品質管理……設計図や仕様書どおりに工事が行われているか、各種試験をクリアしているかの確認
- 原価管理……協力業者への支払い、材料費など工事にかかる原価の管理。
事故やケガをさせることなく、決められた工期内に設計図や仕様書どおりに施工して、会社に多くの利益を残せるような工事をすることが施工管理の仕事です。
また「施工管理」と一口に言っても、いろいろな業種の施工管理があります。
- 土木施工管理技士
- 建築施工管理技士
- 管工事施工管理技士
- 電気工事施工管理技士
- 造園施工管理技士
- 建設機械施工管理技士
- 電気通信工事施工管理技士
上記のように「施工管理技士」とついた国家資格は7種類もあるのです。
たとえば「土木工事」と「建築工事」では、同じ施工管理だとしても工事内容はまったく違います。
この記事では業種に特化した施工管理の話ではなく、どの業種の施工管理にも共通する内容をメインでお伝えできればと思います。
建設業界未経験の人に伝えたい施工管理の3つの魅力
施工管理の仕事は多岐にわたるため、仕事のイメージが思い浮かびにくかったり、魅力がわかりにくかったりします。
そこで、ここからは「建設業界未経験の人に伝えたい施工管理の魅力」を紹介します。
施工管理の魅力は以下の3つです。
- 達成感が大きい
- 給与水準が高め
- AIに奪われにくい仕事
それでは、1つずつ見ていきましょう。
達成感が大きい
正直なところ、施工管理はやることが多いです。ですが、その分工事が終わったときには大きな達成感を得られます。
なにもないところに自分の携わった建物が建ったり、設備ができあがったりするのは感慨深いです。
建設業はよく「地図に残る仕事」と言われており、知人や家族に「自分が関わった現場なんだ」と自慢気に話をする人も多くいます。
また、現場完成時の達成感には中毒性があり、ツラい現場があったとしても、現場が終わると「次の現場はどんな風になるかなー」とワクワクしてしまいます。
給与水準が高め
施工管理は平均年収よりも高い傾向にあります。
理由としては、施工管理は需要に対して供給が追いついていないため重宝されやすいからです。
また、「土木施工管理技士」や「建築施工管理技士」といった、国家資格を取得すれば、資格手当やキャリアアップによる年収アップも狙いやすいでしょう。
転職市場でも施工管理技士を取得している施工管理は多く求められています。
給与水準が高く、転職市場での価値が高いことは施工管理の魅力の1つです。
AIに奪われにくい仕事
施工管理はAIに奪われにくい仕事です。
AIが台頭してきている昨今において、「AIに奪われにくい仕事」であることは魅力の1つと言えるでしょう。
施工管理がAIに奪われにくい仕事である理由は以下のとおりです。
- 単純作業ではないため
- 自動化できる仕事ではないため
- 現場の状況を見て判断しなくてはいけないため
- 複数の要素を基に判断しなくてはいけないため
- 人と人とのコミュニケーションを取り持つ必要があるため
- 現場で働く人間の感情を理解しなくてはいけないため
- 現場での問題解決能力が必要なため
これからAIがさらに発展したとしても「施工管理」という職業が無くなる可能性は限りなく低いでしょう。
建設業界未経験で施工管理に転職するなら知っておいた方がいいこと5選
さて、ここまで施工管理の魅力について紹介してきました。
ここからは「建設業界未経験で施工管理に転職するなら知っておいた方がいいこと」を紹介します。
内容は以下の5つです。
- 長時間労働になりがち
- 労働環境がきびしい
- 専門用語が多くて戸惑う
- さまざまな人との細かい調整が必要
- 業種によってキツさが変わる
それぞれ深掘りしていきます。
長時間労働になりがち
施工管理は現場作業が終わったあとにデスクワークもするため、長時間労働になりがちです。
ただし、建設業界は「2024年問題」と言われている働き方改革の本格実施などもあり、徐々に改善方向に動いています。
厚生労働省の発表している「毎月勤労統計調査」を参考に、令和5年1月分の月間労働時間をグラフにまとめました。
(厚生労働省「毎月勤労統計調査(令和5年1月分)」より作成)
グラフを見てもわかるように、建設業界は他業界と比べてヒドすぎるほどの長時間労働という訳ではありません。
また、昨今のIT技術の進化により、施工管理に特化したアプリなども多く提供されています。
このような時代背景もあり、長時間労働の解決に徐々に向かっている。といっても過言ではないでしょう。
労働環境がきびしい
施工管理はメインが現場作業になるため、屋外での作業が多いです
雨の中での作業や、夏場の炎天下での作業など、労働環境がきびしい中での仕事が発生する場合もあります。
ですが逆に、春先や秋の晴天に屋上で作業する場合などはとても気持ちが良いものです。
私は前職の場合、工場勤務で太陽の下で働くことが一切なかったため、太陽の下で仕事できることに感動を覚えました。
職種や作業によっては、雨の中での作業はできないこともあるので、そういった場合には作業延期になります。
業種によるところもあるので一概には言えませんが、天気や気温に影響されやすい労働環境であることは間違いないでしょう。
専門用語が多くて戸惑う
建設業界未経験から施工管理へ転職すると、現場で飛び交う専門用語の多さに戸惑います。
専門用語がわからず、会話の理解が追いつかないことが多々ありました。
たとえば
- RC……鉄筋コンクリート造
- ARC……気泡入りの軽量コンクリート板
- 天端……上面
- 下端……下面
- ネコ……手押し車
- ウマ……4本脚の作業台
- カラス……プライヤーという工具
など数え切れないほどの専門用語があります。
わからない言葉が出てきたら「〇〇ってどういう意味ですか?」と素直に聞くと良いでしょう。
また、自分が参加していない会話でも、わからない言葉は逐一メモを取るようにして、休憩時間などにネットで調べるのもおすすめです。
建築業界の専門用語を紹介しているサイトもあります。
スキマ時間に流し見するだけでも、会話を理解できるようになるでしょう。
用語集 | 週刊助太刀
さまざまな人との細かい調整が必要
施工管理は現場で多くの人と関わることになります。
- 元請
- 多種多様な協力業者
- 設計士
- 他業種の施工管理
- 近隣住民
それぞれの立場が違えば求めることは違うので、施工管理は各々の希望や意見などを取りまとめなくてはいけない場面が多くあります。
相手に納得してもらえるような言い方や、説明資料の準備など細かい気配りが必要です。
さまざまな人とのやり取りがあるため、コミュニケーションを取るのが得意な人は施工管理に向いています。
業種によってキツさや楽しさが変わる
冒頭でもお伝えしたように「施工管理」と一口に言っても、さまざまな業種があります。
- 土木施工管理技士
- 建築施工管理技士
- 管工事施工管理技士
- 電気工事施工管理技士
- 造園施工管理技士
- 建設機械施工管理技士
- 電気通信工事施工管理技士
建設業界未経験から施工管理になりたいと思ったら「どのような工事をしたいのか」を考えてみると良いでしょう。
- イチから建物を建てたいのであれば「建築施工管理技士」
- 道路などのインフラに関わる仕事をしたいのであれば「土木施工管理技士」
- 建物の設備に関して関わりたいなら「管工事施工管理技士」や「電気工事施工管理技士」
といったように、やりたいことから逆算して施工管理になることで、入社後のギャップや入社後の満足度アップにつながると思います。
まとめ:施工管理は建設業界未経験者にもおすすめの職業!
今回の記事では「施工管理の魅力」や「建設業界未経験から施工管理に転職する人に伝えたいこと」について紹介してきました。
建設業界未経験から施工管理への転職と聞くと、少しハードルが高く感じてしまう人もいるかと思います。
厳しさや難しさを感じる場面はあるかもしれません。ですが、施工管理はそういったデメリットよりも、やりがいや達成感といった魅力の方が大きいおすすめの職業です。
毎日決まった作業を淡々とこなすよりも、変化のある毎日を送りたい人は施工管理への転職を検討してみてください。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
[文/東山 拓也]
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