高所恐怖症は、高い場所に対する過度な恐怖感を抱く症状で、日常生活に支障をきたす可能性もあります。一方で、建設業の職人の仕事は高所作業が多く、高所恐怖症の方にとっては苦手な職業に映るかもしれません。ですが、もし建設業の職人になることを考えている方で、高所恐怖症がネックになっているのであれば、高所恐怖症を克服して職人を目指すのも一つの方法です。
この記事では、建設業の職人になることを考えているけど、高所恐怖症が課題になっている人に向けて高所恐怖症を克服する方法についてもご紹介したいと思います。
高所作業が多い職種
まず、建設業の中でも高所作業が多い職種をご紹介したいと思います。
足場とび
足場とびは高所作業の代表格と言えます。足場とびは、高所作業が必要な現場で足場を組み立てる職人を指します。例えばマンションの外壁塗装を行う際、外壁の周りに足場を組み、塗装職人が外壁やベランダの作業を行えるようにします。足場を設置する仕事柄、高所作業が必要になってくるでしょう。
大工
大工も高所作業が多い職種です。建物の梁の上を移動して作業を行うことが多く、必然的に高所作業が発生してきます。
塗装業
塗装業ではベランダでの塗装作業が発生しますし、その際は足場を移動することが多くあります。また、屋根の防水塗装を行ったりすることもあります。
その他、送電線の建設や点検、高所作業車を使った仕事など、建設業の中でも高所作業を伴う業務は多くあります。また、内装でもクロス職人であれば脚立の上で作業をする事が多くありますので、建設業の職種の中には高所作業が必須になるものは多くあります。
なぜ高所恐怖症になってしまうのか?【原因】
高所恐怖症は、高い場所に対する過剰な恐怖感を示す症状です。原因はいくつかあり、遺伝的要素、過去のトラウマや経験、神経系の過敏さなどが考えられます。高所恐怖症は、適応障害や恐怖症の一種として分類されることがあります。
高所恐怖症を克服する方法
高所恐怖症を克服するためには、以下の方法が役立ちます。
(1) 徐々に慣れる
高い場所に対する恐怖心を克服するための最も自然な方法は、徐々に慣れていくことです。まず、自分が抱える恐怖心が許容範囲内の高さから始めましょう。例えば、低い階段や小さな丘など、それほど高くない場所で高所に対する不安感を感じるかどうかを確認します。
次に、徐々に高さを上げていくことで、自分がどの程度の高さに対応できるかを見極めます。高さが上がるごとに、自分の心身の反応を注意深く観察し、適切なペースで慣れを促進していくことが大切です。焦らず無理をせず、自分のペースで進めることが重要です。
この過程で、友人や家族と一緒に挑戦することで、安心感を得られる場合があります。また、高所に慣れるために趣味やスポーツを活用するのもおすすめです。例えば、ハイキングや登山、ロッククライミングなど、高所を経験する機会を増やすことが役立ちます。高所恐怖症克服の成功体験を積み重ねることで、自信がついて、恐怖心が徐々に薄れていくことがあります。繰り返し高い場所に立ち向かうことで、高所への適応力が向上し、徐々に恐怖心を克服していくことができるでしょう。
(2) 呼吸法
高所恐怖症に対処するための効果的な方法の一つは、呼吸法を利用することです。緊張や恐怖感が高まると、呼吸が速く浅くなり、これがさらに不安感を増幅させることがあります。呼吸法を用いることで、心身をリラックスさせ、緊張感や恐怖感を軽減することができます。
深呼吸法の一例として、4-7-8法があります。この方法では、以下の手順で呼吸を行います。
- 鼻から4秒かけてゆっくりと息を吸い込みます。
- 息を7秒間静かに止めます。
- 口から8秒かけてゆっくりと息を吐き出します。
このリズムで数回繰り返すことで、心身がリラックスし、緊張感や恐怖感が和らぐことが期待できます。高所に立つ前や、高所での恐怖感が増した際に試してみると良いでしょう。
また、瞑想やヨガなどのリラクセーション技法も、呼吸を整えることに役立ちます。これらの練習を定期的に行い、リラックスする能力を高めることで、高所恐怖症に対処しやすくなります。
呼吸法をマスターすることで、高所に対する恐怖心を抑えるだけでなく、日常生活におけるストレスや不安感にも対処できるようになるでしょう。
(参照:マイナビ:https://co-medical.mynavi.jp/contents/therapistplus/career/useful/2002/)
(3) 認知行動療法
高所恐怖症を克服するための一般的で効果的なアプローチの一つは、認知行動療法(CBT)です。CBTは、専門家(心理療法士や精神科医)の指導のもと、自分の恐怖心に対処する方法を学ぶ心理療法です。このアプローチでは、患者が自分の思考や行動について深く理解し、それらを変容させることを目的としています。
認知行動療法では、まず患者の恐怖に関連する思考パターンを特定し、それらが現実的かどうかを検討します。患者は、過度に否定的な思考や認知の歪みを特定し、それらをより現実的でポジティブな思考に置き換える方法を学びます。
さらに、CBTでは患者が段階的に恐怖心を克服するための行動計画を立てます。これには、徐々に高所への恐怖心を減らすための実践的な練習や、リラクセーション技法を取り入れたストレス管理法が含まれることがあります。
CBTのセッションは、個別またはグループで行われることがあり、通常は数週間から数か月にわたって実施されます。認知行動療法は、高所恐怖症の克服だけでなく、様々な恐怖症や不安障害にも効果があることが研究で示されており、適切な指導のもとで実施することが重要です。
(参照:NCNP病院 国立精神・神経医療研究センター:https://www.ncnp.go.jp/hospital/patient/rinshoshinri/rinshoshinri_blog20220713.html)
(4) 仮想現実療法
仮想現実技術を用いて高い場所にいる感覚を体験し、恐怖心に対処する方法を学ぶことができます。
(参照:VR 空間を利用した高所恐怖症における STAI の有効性の検証 https://opac.ll.chiba-u.jp/da/curator/105951/LOIS2017-76.pdf)
高い所を恐いと思うメリット
高所恐怖症は、自然界における生物の適応能力としてのメリットを持っています。高い場所への恐怖心は、危険な状況から身を守るための本能的な反応であり、適度な恐怖心は自己防衛のために役立ちます。以下に、そのメリットについて詳しく解説します。
- 危険回避: 高い場所に対する恐怖心は、過去の進化の過程で生物が高所での事故や転落などの危険から身を守るために獲得した能力です。この恐怖心があることで、無意識的に高所でのリスクを認識し、安全な行動をとるように促されます。
- 自己保護: 高所恐怖症は、個体が自分自身を保護するために必要なリスク認識を向上させます。適度な恐怖心があることで、危険な状況を避けるために注意深く行動することができます。
上記のように、高所作業に対して恐いと思えることはメリットでもあります。どんな作業も同様ですが、恐さに慣れると普段当たりまえに行っている確認を怠ったりすることで発生する可能性が高くなります。
国土技術研究センターがまとめた、「公共建設工事の事故発生の傾向と事故要因の分析」によると、墜落事故の人的要因の中で、「規律の無視行為・危険な行為」と「肉体的・精神的要因」がそれぞれ原因の41%ずつを占めています。これは、災害発生には、「規律の無視」及び「危険を認識しない」等の精神的要因が同時に関係しており、「規律無視は危険につながることはわかっている
が、自分は大丈夫だろう」と思いこみつつ違反行為をしていると推察されると発表しています。
高所作業を恐いと思えることで、こういった事故のリスクを軽減することができます。
建設工事において、いちど事故が起きると、本人だけではなく、会社や元請け、施主にも影響があります。そういった意味でも、事故に対して正しく恐怖心を持ち続けているのはメリットといえます。
まとめ
高所恐怖症は、高い場所に対する過剰な恐怖感を示す症状です。原因はさまざまですが、中には高所恐怖症を克服できるケースもあります。また、建設業の職人としては、高所作業に対して、正しく恐怖心を持つことはメリットになりえます。もし建設業の職人になることを考えていて、高所恐怖症がネックになっているのであれば、高所恐怖症の克服を目指してみるのはいかがでしょうか。
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