CLT工法は現在注目されている建設法の一つです。CLT工法は、CLTと呼ばれる木材を使った工法で、既存の木材が持っていた弱点を克服した建材とも言われています。
この記事では、CLT工法の特徴やメリット・デメリットについて解説していきます。
CLT工法とは
CLT とは、Cross Laminated Timber(クロス・ラミネイティッド・ティンバー)の略称です。ひき板(ラミナ)を横に並べた後、パネルとして接着した木材を指します。1990年代中頃よりオーストリアを中心に発展し、日本では2010年頃から検討や設計が始まりました。
CLT工法とは、このCLTを使った施工方法を指します。CLT工法の中にもいくつか種類があり、それぞれ、CLTパネル工法、軸組工法+CLTパネル、混構造とがあります。
CLT工法のメリット
CLT工法のメリットは以下になります。
素材軽量化による建設経費の削減
CLT は木質材料のため、従来の鉄筋コンクリートに比べて材料としての重量は 6
分の 1 に抑えられます。例えば、現在 CLT の生産可能最大サイズ(幅 3,000㎜×長さ 12,000㎜)を厚み90㎜で生産した場合、CLT(スギ)では総重量 1,300kg であるのに対し鉄筋コンクリートの場合は 7,800kg です。この差は、基礎の軽量化や材料輸送コストの低減に寄与し、全体経費削減に繋がります。
多機能性による現場施工の合理化
CLTは1枚のパネルで様々な性能を持ち合わせています。従来型の木造建築では、柱(鉛直荷重支持)+筋交いや壁(水平荷重負担)+断熱材+石膏ボード(防火被覆)など、様々な個別材料に性能を負担させ、これらを工場または建設現場にて施工しなければならなりませんでした。しかし、CLT は1枚の材料でこれらの機能を満たすことができ、従来型より断熱材の量の削減あるいは、付帯物の量が削減され、現場施工の合理化を図れます。
工期の短縮
CLTは、窓やドアなどの開口部の加工や必要部分の穴あけなどの作業を工場で行い、パネルとして建築現場に搬入することができます。現場では、1階の壁からパネルを立ち上げ、その上に2階の床を設置し、その後に2階の壁を立ち上げていくプラットフォーム工法を使用して建物を建設します。従来の木造建築と比較すると、部品数が少なく、大きなパネルで建物を建設するため、施工が非常に迅速です。また、アパートや宿泊施設など、定型の間取りの建築物の場合、工場でユニット化された建物を使用し、パネルよりもさらに施工性を向上させることができます。
こういった点から、工期の短縮につながると言われています。
また、コンクリートのように養生期間を必要としないため、工期を短縮することができます。
従来の木材と比較して地震に強い
CLTは従来の木材と比較して地震に強い木材です。2015年にE-ディフェンス(世界最大
の3次元振動台)において実施された実大振動台実験では、阪神淡路大震災の観測波(震度7)よりも大きな加力に対して倒壊しませんでした。
従来の木材と比較して火災に強い
CLTは従来の木材と比較して火災に強いのも特徴です。CLTは、火災時に表面に炭化層(断熱層)を形成しながらゆっくり燃えることが実験により確認されています。そのため、従来の木造よりも火災に強い作りになっています。
CLT工法にはこのようなメリットがあります。しかし、CLT工法には以下のようなデメリットもあります。
CLT工法のデメリット
設計のノウハウが確立されていない
CLT工法は新しい施工の方法になりますので、施工にあたって設計上の課題がまだ残っています。CLT工法における設計手法の簡便化・合理化や標準化、設計情報の共有・設計のDX化などが課題となっています。
コスト計算が難しい
CLT工法における積算が難しく、見積もりを正しく計算する事が難しいという点があります。
不具合が起きた場合の対処が難しい
CLT工法における不具合に関する情報がまだ少なく、不具合がおきた際にどう対応するかの情報が広まっていないという点もデメリットとしてあります。
以上が、CLT工法のメリットとデメリットです。
デメリットに関しては、新しい技術の普及時におきる課題でもあり、今後、CLT工法に関する情報が広まっていくことによって軽減できる可能性が高いです。
CLT工法の見通し
CLT工法は、様々なメリットや可能性のある工法であり、今後も高い期待が寄せられています。
課題となっている点に関しても、今後の施工事例やノウハウが共有されることによって、CLT工法が大きく広まる可能性があります。
また、CLT工法に用いる木材を国産のものに変えることで、SDGsやESG経営に寄与できる可能性もあります。
こういった点に関しては。国産木材を活用したCLT工法が、環境配慮の面でどれくらい貢献できるかを定量的に評価するといった点も課題となりますが、こういった点をクリアすることで、より社会から求められる施工方法になる可能性があります。
まとめ
今回はCLT工法について解説しました。建設業では、日々新しい技術が考えられています。
CLT工法についても、建設業のトレンドとして理解しておき、今後、どのように関わっていくか注視していくのはいかがでしょうか。
参考:https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/cltmadoguchi/kaigi/k_dai2/siryou1-2.pdf
https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/cltmadoguchi/pdf/shiryou1.pdf
https://clta.jp/wp-content/themes/clt/pdf/about/nyukai/pdf_guidebook.pdf
https://clta.jp/wp-content/themes/clt/pdf/about/nyukai/pdf_start-panphlet.pdf
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