老後生活に2,000万円~4,000万円が必要と言われている現在、職人さんの中には将来への不安を感じている人が少なくないと思います。職人さんは現場で働くことによって収入を得るため、いつまで働けるか、またはどの程度働けるかという問題は、他の職業の方々に比べてより深刻な懸念事項となります。
こうした状況を鑑みると、職人さんが老後を安心して迎えるためには、現役のうちから必要な準備を整えておくことが重要となります。
職人の老後について意識する点
現代では平均寿命が延び続けているため、定年後も20〜30年は生きると想定しなければなりません。その結果、生活期間が長くなると、それだけ老後の資金も多く用意する必要があります。
老後の生活資金はいくらくらい必要?
次に、老後の生活資金について解説します。具体的には、65歳で定年とし、90歳まで生きると仮定した場合、公益財団法人生命保険文化センターの調査によれば、夫婦2人で必要な生活費は月額22万円、これが25年間かかるとすれば、必要な資金は合計で6,600万円になります。
しかし、夫婦の年金で賄えるのは月平均11万円〜28万円程度で、この金額は国民年金と厚生年金の加入期間によります。つまり、年金収入だけでは生活費を賄うことは難しく、貯金から不足分を補う必要があります。
(参照:厚生年金保険・国民年金事業の概況 https://www.mhlw.go.jp/content/000706195.pdf)
こういった点から、「老後の生活資金が足りなくなるのではないか」という不安を感じる職人さんもいらっしゃるかもしれません。生活費の増加、年金収入の不足、など、様々な要素が複合して老後の不安を増幅させます。
もちろん、これらの話は職人さんに限った話ではありませんが、職人さんも同様の点を考える必要があります。
職人さんが安心して老後を迎えるためには、早期からの準備と計画が必要となります。具体的には、老後生活に必要な資金を把握し、適切な貯蓄計画を立てること、また健康管理に注意を払いながら可能な限り働き続けることなどが考えられます。
さらに、公的年金だけに頼らず、生命保険などの商品を利用することで、年金収入を補完することも可能です。また、老後の生活費を賄うための収入源として、不動産投資や株式投資などを考えることも一つの方法となります。
しかし、これらの方法を選択する際には、リスク管理も重要です。投資は元本が減少するリスクを伴うため、自身のリスク許容度や資産状況に応じた適切な投資を行うことが求められます。
このように、老後の不安を解消し、安心して生活を送るためには、適切な資金計画とリスク管理が必要となります。また、各種の制度や商品を上手く活用し、収入源を確保することも大切です。
(参照:第Ⅰ章 生活設計と生活保障意識 https://www.jili.or.jp/files/research/chousa/pdf/r1/p009-036.pdf)
老後に向けての準備
ここでは、職人さんが老後に向けて行う、具体的な対策についてご紹介します。
貯金・定期預金・投資
老後に向けて行うこととしては、大きくは貯金・定期預金・投資があります。
例えば、65歳までに2,000万円を貯金するためには、貯金を始める年齢によって必要な毎月の貯金額が変わります。20歳から始めれば約3.7万円/月、30歳から始めれば約4.7万円/月、40歳から始めれば約6.6万円/月が必要となります。
(参照:金融資産の保有状況 https://www.fsa.go.jp/singi/singi_kinyu/tosin/20190603/01.pdf)
しかし、人生は予想外の出来事が起こることもあります。急にお金が必要になる事態が起こるかもしれません。そのため、無理のない範囲で毎月少しずつ貯金を行うことが重要です。
例えば、毎月5万円を貯金し、それを20年間続ければ1,200万円、30年なら1,800万円が貯まります。しかし、老後には最低でも2,000万円が必要と言われているので、5万円/月では少し不足するかもしれません。そのため、自身の収入や生活費を考慮に入れて、必要な貯金額を計算することが推奨されます。
長期・積立・分散投資は資産運用の中でも王道と言われています。積立期間が長ければ長いほど、投資先を分散すればするほど、収益のバラつきが少なくなる特徴があります。1985年以降、毎月同額を国内外の株式と債券に積み立てて分散投資し、保有期間が経過した時点での時価を算出すると、保有期間が5年の場合はマイナスリターンも発生するかもしれませんが、保有期間が20年になるとプラスリターンに収束し、そのバラつきも小さくなります。
具体的には、保有期間が5年の場合、100万円の投資は72万円から173万円になる可能性があります。一方、保有期間が20年の場合、100万円の投資は185万円から321万円になる可能性があります。
(参照:【長期・積立・分散投資の有効性】 https://www.fsa.go.jp/singi/singi_kinyu/tosin/20190603/01.pdf)
個人年金
国民年金や厚生年金だけでは、老後の生活資金が足りないと感じている職人さんは少なくありません。そんな職人たちにとって、個人年金への加入は一つの解決策となり得ます。
個人年金とは、個人が任意に加入できる年金制度のことで、個人型確定拠出年金や民間の個人年金などがあります。これらは自己負担により、一定の年金を得られる制度です。
(参照:[年金制度の仕組みと考え方] 第15 私的年金(企業年金・個人年金)制度 https://www.mhlw.go.jp/stf/nenkinshikumi015.html)
個人年金に加入することで、国民年金や厚生年金とは別に、毎月6万円から8万円程度の収入を得ることが可能になります。しかし、実際に受給できる金額は加入年齢、支払い年数、選択プラン、家族形態など様々な要素によって異なります。
そのため、自身の生活スタイルや老後の生活設計に合わせて、最適な個人年金を選ぶためには、保険会社と相談することが重要です。個人年金のプラン選びや加入時期、支払い方法など、自分にとって最適な選択をするためにも、専門家の意見を取り入れることを推奨します。
(参照:私的年金制度の概要(企業年金、個人年金) https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/nenkin/nenkin/kigyounenkin.html)
資格の取得による収入の増加
貯金や個人年金だけでは不安を感じる職人にとって、新たな資格の取得はスキルアップやキャリアアップにつながり、経済的な安定に寄与します。職人さんの仕事は、所持している資格によって日給が変動する場合が多くあります。そのため、新たな資格を取得することで日給が1,000円から2,000円増えることもあります。
この増額は一見小さく見えるかもしれませんが、毎日の出勤に積み重ねると大きな差になります。例えば、日給が1,000円アップし、月に25日出勤すると、月給は2万5,000円増えます。これを1年間続けると、年収は30万円増加します。
さらに、資格は一度取得すれば一生涯有効なものが多く、資格を持つことで職場での評価が上がり、転職時にも有利に働くことがあります。資格取得までの道のりは大変かもしれませんが、老後の生活安定や将来のキャリアアップを考えると、資格を取得しておくことは非常に賢い選択と言えます。
取得する資格によって難易度が大きく変わってきますので、ご自身の働く会社で資格取得に関する手当の有無、金額などを確認した上で、どの資格を取ると良いかを検討するといいでしょう。
転職
資格を取得することは、職人さんが転職を考える際に大きなアドバンテージとなります。近年、建設業の人手不足もあり、職人さんの求人の条件は底上げされています。
ですが、同じ職種や仕事内容であっても、企業によって条件に差が出てくることがあります。また、転職者の求人条件が既存社員の給与条件よりも良いというケースもあるかと思います。
そんな時、新たな資格を取得し、スキルやキャリアを向上させれば、より高給与や年収の高い会社への転職も可能となるでしょう。
職人さんの仕事は基本的に専門職であり、会社が変わっても業務内容自体は大きく変わらないことが多いです。そのため、待遇が良い環境を求めて転職することは自然な選択といえます。
ただし、将来の安定を考える上で、会社の給与だけでなく福利厚生も重要な要素となります。退職金制度や医療保険、健康診断、有給休暇など、福利厚生が充実している会社を選ぶことで、長期的な安定を得ることができます。これらの要素も転職先を選ぶ際の重要な基準となるでしょう。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
長寿化した現代では、老後の生活プランの設計は重要な問題です。また、こういった対策は、早めに対策しておく方が効果的です。
この記事が、老後の生活について考えるきっかけになれれば幸いです。
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